シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

 先日、地上波でノーカット放映された。オイラは流行に乗るのがキライなので、本作についてまったくの未見であった。あえて事前情報は入れず、しかしここに至るまでのTVアニメは完全に下準備した上での観賞だ。何故、日本の興行収入記録を塗り替えるほどヒットしたのか・・それが知りたい。

 観終わって、大変意外な印象を持った。まず、よく泣けたという話を聞くので、どれほどの感動作なのかと楽しみにしていたのだが、そんな類のストーリーではない。よほど鬼滅の刃に没頭した者達が、登場人物に過度な感情移入した結果であろう。2次元の空想であってもそれほどの力があるのだ。大昔の「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」と同じ現象だ。

 さらに意外なのは、鬼滅の刃を始めてみる観客への配慮はまったく無いことだ。それはそれで潔い造りであるが、初見の人には話の魅力が半分も伝わらないだろう。外国の批評家が初見でも十分楽しめると言っていたが、とんでもない嘘だと思う。

 最も予想外なのは、本命の強力な敵は逃げてしまい、悲劇で終える結末だ。昨今の続編を匂わすハリウッド作の比ではない誘引で終える。劇中のストレートな戦いに魅了された人は、リベンジを観ずには居られまい。

 本作はTVでのここまでに至る戦いの延長上で、TVアニメと風情は変わらない。しかし敵側のバックボーンが何も語られないので、クライマックスは単純な勧善懲悪となる。なのに懲悪すら完遂されずに事切れて終える。無限列車編が尺的に劇場公開しやすかったのだろうが、まとまりのある一本の映画に仕上がっているとは思えない。では、本作が国内史上最大のヒットになった理由は何だろう。正直言って自分には謎のままだ。鬼滅の刃という祭りの波に乗らずにいられない気運の勝利だろうか。


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