2019年のクロアチア映画で、多くの小国が製作参加している。その割にはC級レベルの小品で、数多くのローカルな映画賞を獲得している。
本作を観ようと思ったのは、トゲのないホっとする作品を望んでいたためで、80分に満たない上映時間も気に入った。宇宙人にさらわれたお爺ちゃんを助けるため、ロボットと冒険する10歳の女の子が主人公と聞いて、ファンタジーSFかと思ったら違う。私的に予想外の面白さを覚えた。
なんとなく、昔の日本製SFのようなノスタルジーを感じる設定で、ロボットの造形がチープなのも稚拙な印象を持たない。しかも、異星人の責任で命を落とした地球人への贖罪が、ウルトラセブンそのものである。
低予算で冒険モノを作るのは難しい。そんな制約の中、ほど良いハラハラ感と笑いの要素が心地よく、異星人の目的もファミリー映画らしい解決で好ましかった。ただ、ラストのお爺ちゃんの最後と家族の描写は物足りない。もっと感動的な盛り上がりにできたはずで、何事もなかったかのように終わるのは違和感が残る。