シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

真空管ハーモナイザー

 ラックスマンの仕上げた余興が巷で評判になっている。
 それは真空管ハーモナイザーというハサミ物で、デジタル色をアナログっぽい雰囲気にするために、真空管を一種のフィルターにしてみようというもの。雑誌の付録企画でもあり、価格は1万3千円前後という。回路を持った機器がこの価格というのは、おもちゃ感覚のアクセサリーと考えるのが普通だ。ところがこれが大評判で、限定数ゆえにプレミアが付き始めているらしい。懇意のショップでキットを完成品として販売しているので、実際聴いてみた。
 使用機器はダイヤトーンDS−V9000をオールアキュフェーズで鳴らす。ハーモナイザーはCDPとプリ間にはさみ、ダイレクトと比較だ。ダイレクト結線はXLRなのでゲインが違うから、ボリューム調整しないと比較は難しい。ところが予想外な事に困惑することになる。
 音質の変化云々の前に、ゲインが変わらないのだ。セレクターを何度切り替えても音量は変わって聴こえない。むしろ、XRLの方が大人しく感じるくらいである。こりゃどういうことだ??同一メーカー同士であっても、以前DP-510を借用したときにゲインが大きく異なるのを確認している。最新アキュのハイエンドはRCAとXLRのゲインを揃えたのだろうか・・とにかく試聴してみよう。
 すでに多くの試聴感想が耳に入っているので、先入観が相当ある。ハードルを上げすぎたか、その違いは結構微妙だ。まあ、ダイレクトの音そのものが超ハイエンド機器の質感を持っているので、そこに13000円のおもちゃをはさんで劇的に向上するほうがオカシイ。その違いは若干ウェットな質感と響きが加わり、厚みがでてくる。不思議にも音像が高密度に感じられ、透明度や解像度が犠牲になった印象もない。そうした変化がとても上品に彩られるので、さすがラックスマンだ。これはもっと高級な外観にして完成品を売れば5万円前後でも売れるに違いない。
 しかしオイラは買う気はない。そもそもDACが管球式であり、球の選別も比較の上で今に至っている。このハサミ物の導入は意味がないからだ。また、似たような変化は別の手法でも得られそうな気がする。デジタルをアナログっぽく・・なんて、20年以上前からある発想なんだから。