シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

WEの音

 昔、ウエスタンエレクトリックというメーカーがあった。最近復活したらしいが、コアな趣味人にとっては過去の貴重な機器、パーツが憧れの対象であることは変わらないだろう。興味深いのは、それがビンテージ収集が目的ではない点で、本気で最高音質と断言されるのである。

 オイラは残念ながらWEサウンドを体感したことが無い。だから本来何も言えない立場だ。しかし、大昔の劇場用スピーカーを当時の設計による真空管アンプで鳴らした音が最高では、それからの技術進歩は何の意味があるというのだ?WEではないが、オートグラフ・モニターレッドの魅力は堪能したことがある。それとて、いぶし銀の古風な音であるのは間違いない。オイラでも、高能率でヌケの良い音はSNが悪かろうとも生々しいという意見は十分理解している。しかし、今どきのソフトはそんなシステムに合わせて製作されていない。当時のソフトを楽しむわけではないのだ。

 それでも趣味人として気になる存在だ。今のシステムにWEの血を混ぜると、どんな音が現れるのか・・かといって、有名なWE300Bのアンプを冷やかしで借りるわけも行かない。そんな折、エイフルのWIBY-1というDACで、レアなWE-412A、WE-407Aの真空管を積んだタイプを借りる機会を得た。我が家の日本オーディオの管球式DACと入れ替えてみればWEの魅力が片鱗でも見えるかもしれない・・

 ゲインが高いので、慎重に何dB違うのかチェックして試聴する。まず、質的な低下をあまり感じないのに感心した。失礼ながら価格相応に高度な質の期待はしていなかったのだ。ただ、魅惑的な色が加わるのかの思いきや、むしろカチっとメリハリのある明解な音である。低音の押しが強く、中域に厚みを感じさせる。中高域に刺激が無く、耳障りが優しい。太い油性ペンで絵を描くような感じで、フワっと広がる音場は得意ではない。なんというか、ミレニアム以前の重量級DACが思い出される。

 こんな試聴でWEの音が分かるはずが無いのだが、少なくともWE-412A、WE-407Aの音色は体感できた。それは意外なものであったけど、我が家で2台並列して楽しむほどの味わいは得られなかった。ただ、WEが単なる懐古趣味ではないのは分かりかけてきた気がする。

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