シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

怪物はささやく

 2016年製作のファンタジー文芸作品。
 母親がフェシリティ・ジョーンズで祖母ちゃんがシガニー・ウィーバー、夜な夜な出てくる怪物がリーアム・ニーソンなんて・・超恵まれた主人公である。
 この主人公、いじめられっ子で、母親は不治の病。入退院の繰り返しで、嫌いな祖母ちゃんの世話になるのを我慢している。そんな孤独な少年に、深夜怪物が現われ、3つの真実の話を聞かされる。そして、4話目は子供が隠してきた真実を話さねばならない・・
 オイラが小学生の頃、学校で映画観賞会があった。授業として体育館で全校生徒に上映したのだが、いきなり字幕で「文部省推薦(特選)」と出てくる。本作はそんな上映にピッタリな作品である。
 この映画は、世の中善悪だけじゃ語れないよ〜と教えてくれる良作だ。怪物の話も、主人公の周囲の人々も、悪いとこもあれば良いところもある。勧善懲悪とは対極の真実の世界。その複雑な人生に翻弄される少年、この主役を演じている子役はズバ抜けた演技力だ。
 クライマックスで真実を語る少年、母親との別れ、もう涙無くしては観られない設定なのに、涙もろいオイラが泣けなかった。その理由は作品の重さにある。これがエンタメのお涙頂戴作品ならいい。しかし、主題が実に重いゆえに安易な涙は出なくなるのだ。それでいて、眠くなるような昔の文部省推薦映画ではなく、ファンタジーとしての見ごたえもあってラストまで引き込まれる。
 本品はぜひ、学校の教材として文部科学省がDVD配布してもらいたい。