シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ヒューゴの不思議な発明

 2011年公開、アカデミー賞で一番話題になった作品。そんな格式高い作品を、深夜に酷いカット割りでTV放映されたのだから哀れである。
 本作はファンタジーに寄った文芸作品といった風情があって、映像的には見事なCGを屈指した美しい作品だ。内容も分かりやすく、地味なれど引き込まれる展開は、巨匠マーティン・スコセッシ監督の手腕だ。昔なら文部省推薦が付いて、小学校の体育館で映写されるようなタイプである。
 主演はエイサ・バターフィールドベン・キングスレー、この2人はその後、「エンダーのゲーム」でも共演していた。友達のクロエちゃんがまだ可愛いのもポイントだ。ジェード・ロウやクリストファー・リーがちょい役で出演しているのも見逃せない。
 本作がゴールデンタイムに向かないのは、ひとえに金にならないジャンルだからである。実際、ロシア映画のような悠長な雰囲気があり、スピード社会の貴重な時間を占有しにくい。ゆえにクライマックスに山場が欲しくて、主人公と鉄道公安官の鬼ごっこを持ってきたようだが、必要なシーンとは思えない。また、現実的なドラマのようでいて、機械人形の行き過ぎたパフォーマンス(ゼンマイ仕掛けであれだけの絵は描けない!)に、中途半端なファンタジーのもどかしさを覚える。打ち砕かれた特撮の創始者の心を立ち直らせる子供の話なんだから、もっとファンタジックでよかったんじゃないか・・と、アカデミー賞5部門受賞作品にケチを付けておこう。


映画『ヒューゴの不思議な発明』予告編