シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

THE FORGER

 トラボルダ主演の昨年一部地域で公開されたB級サスペンスドラマ。実は2年以上前に作られていた作品だ。サスペンス映画の部類というより、ホームドラマの趣を強く出している。アクションものではないが、昔は画家になりたかったオイラには興味深いプロットだ。
 息子が脳腫瘍で先が無く、刑務所を悪人のツテで出所した天才贋作師が、金を返すため贋作最後の賭けにでる。そんな話であるが、親子の疎遠や確執から家族愛を主たるテーマにしているのでアクションは無い。それを承知で観なければガッカリする。
 脇役に名優のクリストファー・プラマーと若手有望株のタイ・シェリダンが演じている。この作品は演技派好みの大人の作品で、現実を直視する視聴者をタ−ゲットにしているように見える。しかし、この監督は絵画の世界をもっとリサーチした方がいい。3週間でこのキャンパスの贋作を仕上げるのは無理だろう。ましてや、主人公は息子が気掛かりで絵を描く時間がない。
 クライマックスのボストン美術館での贋作とのすり替えは、それほど見どころがあるわけではない。この映画の流れでやっているだけである。したがって、すべてを終えて平穏を手にした主人公と家族のラストシーンが一番問題になってくる。
 父親の言葉にただ笑って見つめる息子のシーンと、海を見つめていきなり終わる締め方はどんなものかと思う。私的に中途半端だ。視聴者の判断にゆだねた演技もいいがタメが足らず、余韻を残す演出が欲しい。