シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

YAMAHA NS-5000

 1年以上前、懇意のショップ店長からヤマハがNS-1000Mの後釜を出すらしいという話を聞いた。ベリリウム振動板がまさか復活するとは思えないと訝っていたもので、結局でてきたのがこれである。
 NS-5000・・つまりNS-1000,2000,3000ときて、今頃になってNSシリーズ最上級器の登場というわけだ。その容貌はまさに30年前へのタイムスリップであり、今時無い古式ゆかしいスタイルである。巨大なブックシェルフを一台75000円もするスタンドに乗せて使う。そんな奇特な人は、極一部の趣味人だけである。
 実物をまじかで見ると、その仕上げたるや凄い。ピアノ塗装やフランジの仕上げ、銀色の振動板等、全てが貧乏人を寄せ付けない。SP端子は自信のシングルである。外されてあったユニット保護ネットを持つと、実に重い!これだけ厚みがあれば鳴きはしないだろう。
 エソのCDPとアキュのアンプでジャズを中心に聴いてみた。
 なんというか、特徴の無い普通の音である。録音の良し悪しが見事に出るから解像度は高い。音像はそれほど絞り込まれない。奥行きはさほど深くなく、かと言って前に迫ってくるわけでもない。指向性はかなり広い。まさに往年のメイド・イン・ジャパンだ。言わば、TOYOTAのクラウンを思わせる存在感だ。
 全て同じ振動板を使っているのに、低音の単調なブーミーさが気になる。これはおそらくセッティングのせいだ。しかし、置かれた場所はよく試聴するポジションであるので、このスピーカーの使いこなしは相当難しいということだろう。
 そんな事を考えながら聴いていると、昔ダイヤトーンの2000HRと格闘して挫折した頃を思い出した。NS-5000を買う人は、ピカピカのピアノフィニッシュの巨体を傷が付かないように抱えて、スイートスポットを求め試行錯誤するのだろう。そして、その都度汚れた指紋を拭き取るわけだ。ゾっとする・・