シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

オデッセイ

 火星舞台の映画最新作。ゼログラビディを超えたという節操のないキャッチコピーの大作を観た。
監督はリドリー・スコット。賛否両論を巻き起こす一品が多く、印象に残らん作品は作らない。本作はリアルをベースにした近未来ハードSFで、一番ハードルが高い設定のハズなのに・・さすがである。
 火星を舞台とした作品といえば、2000年の「ミッション・トゥ・マーズ」「レッド・プラネット」が記憶に新しい。当時、前者を劇場鑑賞して後者はDVDで観た。たしかに明暗を分けた2者であったがオイラ的には、壮大な構想を広げた割りにイマイチだった前者より、サスペンス風味も織り交ぜた後者が好みであった。リドリー・スコットらしさといえば、前者が似合う気がするが、本作のクライマックスはレッド・プラネットの脱出手法と似ている。しかもレッド・プラネットではソッポを向いたNASAが本作では全面協力し、大変リアリティの高く美しい映像を魅せてくれる。
 本作がお見事なのは、火星に取り残された一人の男を描いたとは思えないほど悲壮感が無いことだ。たった一人でポジティブにたくましく宇宙サバイバルを熟していく主人公、この役としてマット・ディモンはピッタリ嵌まっている。いつぞやのSF映画でディモンが主役をやる必要があるのか?という疑問が沸いたことを書き込んだが、やはりこの監督の目は確かだ。
 時折流れる70年代ディスコがさらに場を明るくしてくれる。ちゃんと船長の悪趣味なライブラリという設定で、それを聞くしかないという孤独の世界を逆手に取った演出がニクイ。この手の作品はリアリティを外せないので、どうしても緊迫感と悲壮感が付いて回るのが好きではない。ゼログラビティの評価でもこの事は書いた。しかし、オデッセイはそんな常識をひっくり返した一品だ。
 この手のSFでは珍しくリピートしたくなった。