励磁型(フィールド型)スピーカーを知っている方は相当なマニアか年寄りである。
1960年以前はこの電磁石スピーカーが当たり前だったそうだが、永久磁石の進化で絶滅した。非経済性、非効率性、非利便性とくれば如何に音が良かろうと見向きもされなくなる。そんな一部のマニアがビンテージ品を愛でてきた忘却のシステムを復活させたメーカーがある。
ローヤル産業というスピーカー製造メーカーで、いわゆるガレージメーカーである。しかし、そのユニットパーツはあらゆるメーカーに供給されていて、知る人ぞ知る存在だ。そして、作られたのがRSS-133,173,3000である。小型ブックシェルフ2ウェイのRSS-173を隣町のショップで聴いてみた。
17センチユニットの箱にしては大振りで、タオックのスタンドに乗せてアキュで駆動する。電圧コントロールで音質調整可能な電源ユニットが付くので、ある程度慣らす必要があるだろう。と思いきや、15分ほどで普通のスピーカーではあり得ないパフォーマンスを魅せてきた。
なんたる音圧感、抜けの良さか!ヴィーナスレーベルのSACDを中心に聴いたのだが、そのベースの音は17センチブックシェルフから出る音ではない。自宅のメインスピーカーの低音と似ていて、猛烈な視覚とのギャップに身が乗り出す。身を乗り出してもまったく高域が五月蠅くならない。大変SNが良く、ピラミッドバランスのまま全域でスカっと飛び出してくるのだ。それはホーンのような生っぽい演出とはまた異なる。これはスゴイと感心するしかない。
価格は半端なく高価だ。地味な姿に似つかわしくない音と値段はマニアにしか理解されまい。生い立ちからして、バックロードホーンと同じ匂いがする。