シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

必殺 仕事人 2015

 2014年公開のメンバーを変えずの続投である。
 内容はまったくもってのオーソドックス。新味のカケラもない話で、探せば同じようなものは一杯ありそうだ。そういう意味ではスペシャル版としての出来は最低レベルである。
 夫婦の新しい仕事人を演じる2人は良い味をだしている。まあ、出てきた時点で「たぶん死ぬな・・」と分かるパターンではあるが。しかしその位置付けは弱い。2人の過去が何も語られず、お菊が涼次に「あいつらとだけは関わるんじゃない」と言うだけの人物像が見えてこない。泣きぼくろのお宮に至っては単なる薄幸の超人になってしまっている。
 悪役の竹中直人はなんの捻りもなく、もっと変人に仕上げる必要があるだろう。仕事人メンバーの若い田舎坊主は爽やか過ぎる。2014で登場してきたとき、これまでに無い経歴と過去に新しいキャラを加えたかと思ったのだが、まったく死んでいる。
 そして、大変もったいないのは、渡辺小五郎の2面性を画かねばならないのに成っていない点だ。最後にお菊が瓦屋の陣八郎に言った、渡辺小五郎の裏の顔の本性「妻にバレたら殺してしまうだろう」はすばらしい締めなのだ。なのに、その非情な裏の顔を本作でチラリとも画き込んでいないのは残念である。最後の渡辺家のハッピーな団欒を偽りの影でコーティングしてこそ、新しい必殺の味ではないかと昔からのファンは思う。