シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

消されたライセンス

 前回、ティモシー・ダルトンについてカキコした後、消されたアデランスを再見した。不肖ながら、感心したものがあった。
 この作品は、当時劇場に足を運んで失望して帰ってきた記憶がある。つい先日までは駄作中の駄作と評価していた。カット満載のTV放映に記憶のシーンを加味補完して思ったことは、今時の目線に十分耐えられるアクション作品だということ。
 オイラはウイットに富んだ余裕とオシャレなイギリス紳士が、夢のあるアクションを披露するのが007だと思っていた。しかし昨今のハードアクション路線に慣れてしまった今、時代遅れのコネリー・ボンドやマンガチックなムーア・ボンドは見るに耐えない。対して、ティモシーのハード路線は実に人間臭くてアクションも現実的だ。ここが007として地味で、らしくないと言えばそのとおりではあるが。
 本作は麻薬王に対して孤軍奮闘、巧みに敵を嵌めて内部分裂を誘い、敵の仲間となって心臓部にまで進入し、壊滅していくストーリーがいい。当然、主人公は最後はボロボロになっての勝利である。まったく007らしくない。シリーズ中、孤高の存在といっていいだろう。
 敵役のロバート・ダビやベニチオ・デルトロがいい味を出している。ただ、ハード路線を肝としたにしてはアクションがイマイチである。香港麻薬Gメンが忍者というのはギャグとして認めてもいいが、ラストのタンクローリーを舞台とした戦いは地味すぎる。あんな何も無い所で爆発アクションをするのは、昔の西部警察レベルである。しかも、ローリー車がウィリーするシーンはいただけない。あれはイベント用に実際存在する特別な車で、それをそのまま持ってきただけという酷い手抜きだ。あの車を使ったお祭りがあることを知っている人は、苦笑に輪をかけてガッカリしたことだろう。
 まあ、それでも他には無い資質に免じて駄作から異端児にしてあげようか。