シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ティモシー・ダルトン

 イギリスの俳優で、007のボンド役を2作務めている。彼は舞台俳優であり、映画方面ではあまりパっとしない方だ。
 BS放送で007の3週連続放映があり、そのチョイスが面白かった。「美しき獲物たち」「リビングディライツ」「消されたライセンス」である。数あるボンドシリーズの中で、この3つを選んだ担当者はティモシー・ダルトンのファンに違いない。マンガチックでくたびれたムーア・ボンドを放映して、その後のティモシー・ボンドの感情的なスパイ活劇をクローズアップしたいのだろうか。
 実はティモシー・ボンドはかなり早い時期にオファーがあって、本人は2度も断っている。もし初めからOKしていたら、ボンドの歴史は大きく変わったことだろう。遅すぎたOKである。「消されたライセンス」のときはすでに頭が薄くなり、消されたアデランスと言ったほうがお似合いだった。
 リビングディライツが面白かっただけに実に不運な役者だ。シリーズ15周年記念を飾って鳴り物入りの登場だったのに、駄作を掴まされて2作で降板。次のブロスナン・ボンドが大うけしてまったく影に隠れてしまっている。敵の親玉だったジョー・ドン・ベイカーが、ボンド交代となるや仲間のCIAとして登場するという節操の無さである。ティモシーボンドのファンには屈辱的な扱いだ。
 別にオイラはティモシー・ボンドが好きなわけではないが、改めて再見するとそこそこ面白く見れるのだ。スパイ映画として筋を通しつつ、シリーズ特有の遊び感覚をバランスよく持っている。撮影にも気合が入っていて、オイラが007の全作品中で度肝を抜かれたのは、リビングディライツの飛行機からこぼれる貨物にしがみついて格闘するシーンだけだ。今見ても素晴らしい撮影技術だと思う。