数年前、あるオーディオ掲示板でオーディオの音も季節で変えればいいと書き込んだことがある。
地下の防音完備した専用ルームを持つ金持ちは別として、リビング・オーディオでは冬場の絨毯からムシロに変えたり、窓を開ければ音は変わってしまう。
それを許さずに、家族の苦言も辞さずして頑固オーディオを通す人もいるだろう。しかし生活空間なんだから仕方がないと、諦めのマイナス思考でいる人が大半ではなかろうか。
リビングは生活の中心であり、物の出入りが激しい。だから常に決まった音を出すことは不可能である。クッションや雑誌が増えても位置が変わっても音は変わるのだ。「今日はいつもより調子がいいな・・」なんて誰もが体験しているだろう。音を評価するのが仕事のプロではないのだから、気にすることは無い。もっとポジティブに音の変化を利用してしまえばいい。
実はFALをマッキンで駆動していた冬場より、今はデジアンでスッキリした音に変えて満足している。SPケーブもPC-Triple C に変えてスカっとしてきた。夏仕様にしたのである。
認めたくないかもしれないが、オーディオはどんな良い音もしだいに飽きるものだ。FALは本来トランジェントが良く、スピード感と鮮度が際立っているスピーカーだが、刺激的な一面もある。だから使いだすと聴きやすさや心地よさを追い求める事になる。そして、満足のゆく音になるとしばらくして不満が出てくる。本来のFALの持ち味が出ていないじゃないか・・マヌケな繰り返しだ。この傍目では愚かな所作も、季節が変わることで、それに見合った音に変えようと能動的になれば救われる気もする。
夏はサッパリとした素麺がいいし、冬になればコッテリしたラーメンが食いたくなるではないか。