シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

パンズ・ラビリンス

 2006年公開のB級ダークファンタジー作品。実は観終わった後、ウィキでググってアカデミー賞他、世界各国の映画賞をゴッソリ獲得した作品だと知った。監督はギルレモ・デル・トロで、「シェイプ・オブ・ウォーター」より前にこんな作品を撮っていたとは・・不明を恥じねばならない。で、事前にそんな先入観も期待も無く鑑賞した感想を正直にレビューしよう。

 スペインの内乱を背景にした暗黒時代に翻弄される少女が主人公、現実逃避にファンタジーの世界へ没頭していく。残酷で非道な現実描写や、グロテスクなクリーチャーはまさにダーク。しかし暗い場面が多いにも関わらず、クリアで見やすい映像には感心した。内容はファンタジー作品として観ると、かなり異質である。ファンタジックなシーンは全体の3割も無く、過酷な現実が本筋だ。ラストの描写は、ハッピーエンドとみるか、すべて精神が病んだ主人公が生んだ妄想だとみるのか。どっちとも取れる結末表現で、観客は前者としたいのだが、エンドロールに流れる物悲しい曲が現実に引き戻す。ギルレモ監督の手腕に唸るところだ。

 ただ、疑問もある。主人公を演じた子役の挙動が変なのだ。非常にぎこちない演技とおかしな行動、ツッコミどころが非常に多い。これも監督の確信犯だろうか。例えば、2つ目の試練となるペイルマンとの対峙の場面だ。妖精が真ん中の鍵穴を示しているのに、なぜ左側の扉だと確信して開けたのか。その後、禁止された宴の食事になぜ手を出したのか。その行為が変だと言うのではなく、その時の子役の演技が変なので何か伏線を生んだのかと思ってしまう。他にも、クライマックスで銃に撃たれたときにピクリとも動かない演出は何なのか。それまで現実はリアルに通してきただけに、意図が理解できない。これが名作だと言われても納得しにくいところだ。


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