2018年のC級SFファンタジー。
2人の主人公が監督・脚本・撮影・製作まで手掛け、まるでチャップリンだ。子供の頃、妙なカルト集団から逃げ出した兄弟が、10年ぶりに帰郷して不思議な体験をする話。まず、この設定が寒気を感じる。私的に妙なリアリティを感じるのだ。
間を置いたカメラワークと不気味な音響効果が、観客を絡めて逃がさない。この手の作品で上映時間が2時間近くあって緊張感を保っているのは凄い。数ある映画賞で絶賛されたのも頷けるところだ。
この恐怖映画に近い手法は結末が肝心で、多くの作品でガッカリさせられてきた。溜めにためた期待がハードルを上げすぎるからで、本作もその傾向は拭えない。若干派手なクライマックスでカバーしようとして、逆にチープな映像処理が目に付いて逆効果である。M・ナイト・シャラマン監督なら予想外のどんでん返しで納得させるところだ。
アイディア自体は悪くない。トワイライトゾーンやXファイル、スタトレでも見かける時間ループのネタを、ダークな色付けと謎の存在で新味を感じさせてくれる。そんな謎を数多く残して終わる脚本も、カラーにマッチしているので不満に繋がらない。いたずらに暗い場面を多くすることもなく、最終的にアットホームな仕上がりにしたのも悪くないと思う。