シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ウルフズ・コール

 2019年公開のフランス製B級ミリタリーアクション作品。

 フランス映画には疎いので出演俳優は知らない。作品自体は軍規を主題に置いたハードな作りであるため、俳優に顔馴染がいないことはむしろリアリティを感じられる。

 主人公が潜水艦の凄耳ソナー員という視点は新しい。さらに、本編は敵との戦いではなく、敵に嵌められて核ミサイルを誤射するのを防ぐため、味方(それも無二の仲間同士)で戦うしかないという設定が素晴らしい。この緊迫感マックスの密室劇と、大統領命令は誤りであっても覆せないリアルな潜水艦の世界が見事に描かれている。

 本作がユニークなのは、本編に入るまではアメリカのエンタメアクションの流れであったのに、核戦争の危機となる本筋に入ってからは毛色が変わり、まるで日本の暗い軍規モノの様相になっていくところにある。それでも大きな違和感なく、低予算なれど最後まで観客の目を釘付けにする緊張感が見事だ。しかし、ラストの締めはあまりに後味が悪い。リアルな展開はいいが、このままでは核戦争を画策したテロリストは何も語られず、フランスの悲劇で終わるだけであって納得がゆかない。また、表題にもなっている「オオカミの歌」が本編の危機脱出とリンクしていない脚本に疑問がある。

 せめて、テロリストは殲滅した情報が来たり、核ミサイル発射を死を賭して止めた後の描写がもっと描かれるべきだったと思う。


www.youtube.com

この予告編は観客に別の期待を抱かせるので詐欺に近い。