2014年公開の矢口史靖監督作品。
オイラは原作の「神去なあなあ日常」を読んでいない。むしろ矢口監督ファンなら、彼を信じて観ればそれでいいはずだ。結果、まったく裏切られることなく満足である。
まず、Good.Jobをもじったこの題名がいい。ポップで明るいイメージを髣髴させる。物語は都会の気の抜けた学生が林業を体験し、その生活ギャップに慄き困惑しながらも次第に溶け込み、一人前の山男になっていく話。林業を舞台とする映画なんて観た事がない。大変新鮮であり、その風情がたまらなくいい。
特に山の田舎描写はすばらしい。わざとらしさの無い演技と自然が実に心地よく癒される。序盤の主人公が山に慣れない都会人を演じ、都会の垢が抜けたところに来る昔の仲間。田舎をバカにする仲間を叱咤するシーンは感動的だ。
この一見地味な話をギュっと締めてくれているのが林業を主人公に教える伊藤英明だ。海猿が山猿になっただけかと思いきや、みごとに一本気な山男を演じてくれた。
矢口監督の笑いのセンスも相変わらず光っている。まじめなドラマが主軸にあるからこそ、マムシに噛まれた耳やオオヤマヅミの神事が笑えるのだ。特に神事のクライマックスには笑えた。SF「地球最後の日」を思い出す。
惜しいのはラスト。オイラ好みでは、最後は長沢まさみの笑顔で終わって欲しかった。