シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

PIEGA

 PIEGA(ピエガ)のスピーカーを試聴してきた。ピエガといえば同軸リボンユニットとアルミ製エンクロージャーという独自性が色濃く、一度は聴いてみたいと思っていたのだ。
 聴いたのはCoax30.2というトールボーイタイプで、ピエガの中では上位シリーズである。また2本で120万円弱という本品は、結構他ブランドに競争相手が多いといえる。
 駆動するのはエソテリックのセパレートプレーヤーにアキュのトップ・プリ、そしてパスラボのモノラルアンプである。
 まず総体的に意外だったのは、見た目はソリッドなのに厚みのあるバランスを聴かせたこと。クラシックは量感豊かなスケールと中高域のクセのない美しさが際立っている。弦楽器が耳に優しい。ただし、中低域は膨らんで解像度を狙うのは無理だ。それはジャズのベースを聴くと顕著で、ボワボワの低音に幻滅である。
 ボーカルを聴くとどうにもヌケが悪いため、スピーカーケーブルを高域側に結線し直してみた。店頭ではバイワイヤー接続をしていることはまず無いからだ。するとかなりヌケが良くなり、中域音像も立体的になって密度が高くなった。しかし代わりに低域がさらにボワボワになってしまった。低音が被るセッティングでもないし、この力のある駆動系で低音のダンピングを効かせられないのなら、明らかにスピーカーの癖だ。トールボーイで大きなスリット式バスレフダクトからも、無理して細身の図体から厚みのある低音を出そうとしているのは明らかで、これはいただけない。とても100万円を超えるスピーカーのパフォーマンスではない。
 同業他社で比較するなら、本品はモニターオーディオのトップ・スピーカーとほぼ同じ価格、まったくこれを選ぶ理由はない。アルミのエンクロージャーは精緻な作りで高級感はあるがそれだけだ。このCoaxシリーズはブックシェルフでも2本で90万円以上もすることから、高価なユニットを積んでいることが伺えるが、現実的な価格帯としての競争力は低いと言わざるを得ない。

写真では分かりにくいが、これは大変細身のトールボーイである。