シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ゾノトーン Blue Spirit-777SP

 ゾノトーンのスピーカーケーブル、Blue Spirit-777SPの試聴用サンプルを借りてきた。
 実はゾノトーンのケーブルを拝聴するのは始めてである。よって、主軸の定評あるシリーズと比較したリポートはできない。というのも、この商品はゾノトーンの中でも異色な味付けで評価を得ているのだ。得意の異種線材をハイブリットさせる一枠に、なんと錫メッキ線を配合して味のある音を狙っている。ビンテージの風合いをプラスしようと画策したのかと思うが、4スケもある太さのケーブルゆえにビンテージとは相反する外観だ。
 借用したものは端末処理がロジウムメッキのラグで処理されたタイプ。実に豪華な仕上げで、切り売りとは金額が何万円も違う。さっそく聴いてみよう。常に使っているケーブルはワイヤーワールド・エクイノックスⅢで、10年以上前に福田雅光評論家が絶賛したニュートラルな音質。これがリファレンスとなる。
 まず、一気に重心が下がったのが体感された。そして高域が大人しい。まさにピラミッドバランスである。しかしその低域の再現は膨らむこと無く、リファレンスよりも締まっているほどだ。パワフルなのでエネルギーバランスが低重心に感じるのだろう。これはオイラの理想に近い低音で大歓迎である。
 ボーカルが艶っぽくて色気がある。それでいてムダな音を付加したような膨らみや雑味はなく、純粋に人肌が感じられる声だ。定位が厳格で微動だにしない。
 高域はエナジーを抑えているが伸びはあって、芯が強くてシンバルの音は格別だ。繊細な再現とは方向が違うので、弦楽器は重く感じる。
 全域で解像度が高くリファレンスを上回り、それでいてタイトにならない。これには驚いた。奥行きの表現も見事。ただし残念ながら広がりが足りない。間接音が上空に拡散していく様が乏しく、クラシックの音場が狭く感じられる。
 前園社長の狙いにも合致しているようなので、普遍的な音を求める人は対象外ということだろう。クラシックを中心に聴く人にも勧められない。音楽でホットな気分になりたい人はハマるに違いない。ボリュームを上げたくなる気分にさせるケーブルである。

ぶっといけど大変しなやかで、取り回しは楽だ。

この豪華なアタッチメント・ラグはどうだ。これも音作りの決め手にもなっているに違い無い。