シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ロックアウト

 昨年公開の近未来SF映画で、さほど話題にならなかった。リュック・ベッソンがSFを久々に撮ったので興味はあったが、主演のガイ・ピアースはスターというレベルの役者でもないので見送っていた。
 少し前の「トータル・リコール」と同様、大道具の設定に無茶があって、リアルを狙う世界感とマッチしていない。重犯罪刑務所に膨大な予算をつぎ込んで宇宙ステーションにしてしまう設定はアホらしい。メン・イン・ブラック3も同じような設定を持つが、こちらはお笑いSFだから許せるのだ。
 まあ、主役のキャラがアウトローな007といった感じで、それは面白い。大統領の娘を救出するため、単身宇宙刑務所に乗り込むのに実に軽いノリだ。大統領の娘役は「96時間」のマギーグレイス。梅宮アンナに似ていなくもない。この凸凹コンビのやり取りは最初面白いのだが、大詰めになるに従いオナゴが主導権を握るようになってツマラナイ臭みが生えてくる。最後までガイ・ピアースは大統領の娘をガキ扱いして通して欲しかった。
 クライマックスの脱出は唖然とする愚かな展開で、総じてこの作品は最初からSFコメディとして作るべきだったと感じる。無駄を省いたスピード編集もリアルと反する演出だし、リュック・ベッソンはその手のセンスはTAXiやフィフスエレメントで実証済みなんだから、何故こんな中途半端にしてしまったのか。大作の脇役が多いガイ・ピアースが、せっかく面白い主役を演じているのにもったいない限りだ。