シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ブレイン・ゲーム

 2015年公開のサスペンススリラーで、広く言えばSF作品でもある。

 この作品は刑事モノのクライムアクションかと思ったら、名作「セブン」のような展開でサスペンス色が強くなり、しだいに「Xファイル」の世界と化していく。ただし、主役はモルダーやスカリーではなく、予知能力者だ。そんな話なのにサスペンス現代劇として実に上手くまとまっている。

 主演はアンソニー・ホプキンスで、さすがの存在感を魅せつける。そして敵役はなんとコリン・ファレル。この、なかなか姿を見せない悪役の設定が素晴らしい。彼は悪人ではなく、むしろ世の良心として殺人を繰り返しているのだ。それが過去を引きずる主人公の心情を揺さぶり、緊張感を保ったまま意外なクライマックスを迎える。この、勧善懲悪ではない切なさをコーティングする安堵が程よい。

 予知能力者が事件の捜査に協力する作品はいくつもあった。「マイノリティ・リポート」や「NEXT -ネクスト-」もそうだ。予知能力は新鮮な発想と演出ができるし、他の超能力ほど荒唐無稽な印象が無い。本作はそんな中でも、人間の良心や倫理にも切り込んだ深い余韻が得られる良品だと思う。


www.youtube.com

相変わらず邦題のセンスの無さには呆れる。原題の「Solace」に沿った題名にすべきであるが、それじゃ売れんと判断されるのが情けない。