鬼滅の刃が凄まじいブームを呼んでいる。
地元のトーホーシネマでは、なんと7つのスクリーンブースで上映され、土日ではどの部屋もほぼ満席になるという異常事態。まあ、新型コロナのため席が半分になっているが、それでも空前の大ヒットだ。
このご時世で何故これほどのヒットになったのか。ネットを見ると色々と分析されている。まず若年層をターゲットにしたアニメは、あるレベルを超えると爆発的なブームになりやすいという特性もあるだろう。どらえもんやアナユキなど例は多い。芋蔓式に大人も吸引されるからだ。オイラは本作をアニメでしか見聞していないが、絵柄の可愛らしさと美しさは素晴らしい。日本人好みの萌えた人物像が実に愛らしいのだ。しかも個性的なキャラを多く輩出することで、グッズのムーブメントにもなりやすい。しかしそれはこの作品に特化したものでもないだろう。
作品からオイラが注目するのは、その造りがとてもストレートな王道路線で、ゆっくりと展開するところだ。このスピード重視の時代に、じっくりと人物の背景をカット割りして展開する。昔のアニメはそうだった。巨人の星なんて、主人公が投げた球がバッターの目前に届くまで30分使ったものである。これにより作品は深く内面が表現されて感情移入しやすくなる。家族愛のテーマもより鮮明に力強く訴えて心を打つ。だから、オイラはこの最新のアニメに懐かしさを覚える。それが大人の人気も喚起する一因だと思う。
「千と千尋の神隠し」の公開10日興行収益を超えるのは、作品の質を同じ視線で比較するものではなく、人気を得る戦術的な差であろう。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 予告編第1弾 2020年10月16日(金)公開