シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

その女諜報員 アレックス

 今年の夏、公開上映されたB級アクション作品。ちなみに、オイラの地方では未公開であった。
 主演は目下注目のオルガ・キュレンコ。彼女はボンドガールで注目を浴び、トムの「オブリビオン」に出演したのが記憶に新しい。しかし、彼女の魅力が発揮しだしたのはピアース・ブロスナンと共演した「スパイ・レジェンド」だと断言したい。(2015-07-04 スパイ・レジェンド参照)
そして、本作の暗い過去を背負った元凄腕諜報員という王道路線こそ、彼女に相応しい役柄であり「まってました!」とファンとして拍手で迎えたい。
 監督はスティーヴン・S・カンパネリという新人のデビュー作となる。しかし、クリント・イーストウッドの愛弟子との振れ込み、ほほ〜・・お手並み拝見としようじゃないか。
 監督のデビュー作は、金が無いからB級、C級作品にならざるを得ない。本作はアクション作品としてB級レベルなれど、勝負どころを分かっている。だから派手なアクションが少なくても、グイグイ引っ張る流れがいい。これは主役オルガの魅力によるところが大きいが、脇のジェームズ・ピュアフォイがなかなか味のある悪役を魅せており、その2人に焦点を置いた監督の判断が上手い。観る者は複雑なストーリーとかに煩わされずに、役者の魅力に浸かっていられるからだ。これはB級アクション映画の定石をシッカリ踏んでいる。さすが、名監督に師事していただけのことはあるねえ。
 クリントが弟子への贈り物として、モーガン・フリーマンを悪の親玉に迎えてくれたが、モーガン爺が花を添えなくても魅力は変わらないと思う。
 ただ、ラストがいけない。この、続編ありきのようなラストはB級作品にあるまじき所作であり、新人監督がすることではない。この終わり方には心底ガッカリした。100歩譲って続編ありきならば、主役にはもっと特異な個性を持たせなくてはだめだ。
 A級作品の「ソルト」は、しっかり満足できるラストに仕上がっていた。その魅力から続編の話が後から湧いてきたものだが、アンジェリーナ・ジョリーは「どうせ似たような話でしょ」と蹴っている。アッパレな逸話だ。おこがましい事を考えず、今に全力を注げば聴衆のアンコールは後から付いてくるものだ。