シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ザ・ミスト

 スティーブン・キング原作の「ミスト」ではない。あれの感想は、某掲示板で切々と書き込んだ。

 本作は昨年公開のフランス・カナダ合作によるB級SF作品で、謎の霧が突然襲ってくるのは共通している。不治の病でカプセルから出られない子供を持つ夫婦が、子供のために命を懸けて奮闘する話で、そこに穏やかな余生を過ごす老夫婦が暖かい目を向ける、静かな近未来ディザスターとでも言えようか。

 この無名監督は着眼点が良く、B級の味を分かっているようだ。予算の無い中で、迫る緊迫感と決死の覚悟で奮闘する夫婦がよく描かれている。ツッコミ所は無論あるが、短い時間で魅せたい主題に絞っているのは潔い。霧に埋もれるパリの町並みも幻想的で美しい。

 主演は「ルパン」で名を売ったロマン・デュリス、そして爆発的人気のオルガ・キュリレンコで、その結末がなかなか感慨深い。単純なハッピーエンドにせず、命を懸けた二人の行動はすべて無意味に終わるところは、あの凄惨なラストの「ミスト」と共通している。それでも本作は主人公に救いがあり、世紀末の新世界創生を思わせる味わいがあった。久々に、オイラはB級SFの旨味を魅せてくれた本作を佳作と評価したい。

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