シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

スタートレック イントゥ・ダークネス 〜ネタバレ〜

 ファンとして待望の新作を観てきた。その感想の前に、同監督による前作「スタートレック」について触れておく。
 世界中のトレッキーが目を光らせる、巨大なハードルを見事にクリアしたアッパレな作品で、タイムパラドックスを逆手にとって過去作との呪縛から開放しつつ、大衆とマニア双方に満足感を与えた。これはスゴイ事である。それでもオイラは一部の不満をあちこちで投稿したものだった。それはカークがあまりにも簡単に艦長になってしまうことと、スポックとウフラのロマンスという違和感だ。しかしこの監督はしたたか者で、「イントゥ・ダークネス」によって不満に答えてくれたのである。
 カークが未熟なのも、ウフラとスポックが簡単にくっつかないのも承知なのだ。そのギクシャク感からスタートする本作は、家族愛をテーマにその是非を過激に問うていく。これは重い話になりそうなのだが、やはり監督の手腕は冴えていて派手なアクションの畳み掛けで暗い印象を残さない。後半になって「カーンの逆襲」をオマージュとしているのが判明する展開もいい。
 クリス・パインの演じるカークはカリスマ性に乏しく、むしろそれを払拭してクルーとの一体感を強調しているが、これは威厳とカリスマの象徴たる敵が現れると、その存在感を食われてしまう恐れがある。本作ではそれを「カーンの逆襲」における有名なシーンの挿げ替えという離れ業を持って、テーマに沿った強い印象を残している。結果、見終わった後はやはりカークが主役と納得できるバランスに仕上っているのには心服した。
 前作ではマッコイやウフラの活躍の場が無かったのが今回はしっかり見せ場を用意している。またおそらく、過去作を知らない大衆が観るともう少し息が抜ける場面を欲しようが、実はコアなファンには思わずニヤついてしまうシーンがあったりする。ピーター・ウェラーが提督として出てきた時点でオイラは頬が緩みっぱなしだったし、マッコイの「オレは医者であって技師じゃない。」は笑えた。両手を上げて喝采するのも癪なので、一言難を言えばザッカリー・クイントは太りすぎではないか?( ̄▽ ̄)
 J・J・エイブラムスは本当に有能な監督だと思う。彼なら安心して新生スターウォーズを任せられるだろう。