2019年の中国製B級SF映画。
強盗団がハイジャックしたバスが、スターゲイトみたいな未知のトンネルをくぐって異世界に到着し、モンスターと格闘しながら帰還するまでを描く。これは中国映画の悪い所だけが露呈した駄作である。
今の中国映画は莫大な金を掛けて金満キラキラの作品にするのが本懐だと思う。どんな二番煎じでも、思いっきり金が掛かっているから観れるのであって、低予算の作品は世に出すものでもない。ましてや、B級SFに手を出すなんて無謀もいいところだ。
ただ、ハイジャックされたバスという密室が、異世界に放り出されると同時に記憶を無くしているという設定は面白い。現実世界では悪人だが記憶を無くして子供を命がけで守る集団になっていくという、孟子の性善説をドラマの根幹にしている。ただそれがあまりに下手なのだ。焦点をしっかり絞って人間ドラマを描けば、低俗なモンスターなんぞと格闘しなくても素晴らしいSF映画にできたのに。チープなCG(爆発シーンには閉口した)を使わなければと思い込んでいる事が、B級SF映画を作る資格がないと言える。
あまりに本作の酷さゆえ、他の人はどんなレビューをしているのか興味が湧いた。すると、女の子の鳴き声が五月蠅いという意見が多くて笑った。たしかに、この泣き虫は「宇宙戦争」のダコダ・ファニングよりウンザリする。本来なら、観客から一番同情を受けなければならないのに・・こんな恥ずかしい作品を世に出してはいけない。