イップ・マン(継承)で敵役として注目されたマックス・チャン。彼を主役として、イップ・マン外伝が作られた。言わばスピンオフ作品が本作だ。
マックス・チャンはドニー・イェンと同様、遅咲きのアクション俳優だ。これをきっかけにスターになれるか勝負といったところだろう。スピンオフといいながら、その布陣が凄い。対峙する相手が、トニー・ジャー、ミッシェル・ヨー、デイヴ・バウティスタと豪華賢覧。しかも監督はユエン・ウーピンで、イップ・マンのドニーも手を貸している。こりゃ派手なA級品に仕上がっただろうと予想したが、意外とオーソドックスな印象である。たしかに各々のアクションの見せ場は凄い。素晴らしいのだが、イップ・マン(継承)ではなく、往年の香港アクションを継承しているようだ。
派手なワイヤーアクションと、型を重視したアクロバティックな格闘、そしてあまりにもよくある香港映画ストーリー。15年前ならオイラも古色を感じなかっただろうが、イップ・マンでの実戦的なアクションが今の旬であって、それを継承したものを魅せてもらいたかった。それでも、各々の役の立ちどころが新しいので面白い脚本だ。トニー・ジャーの謎の殺し屋は続編を予感させた。
ユエン・ウーピンが監督として古いスタイルを演出したのが失敗だと感じる。その結果、陰りのある主役の個性が発揮されていないと思う。