シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

カンフー・ジャングル

 2014年製作のドニー・イェン主演作品。ドニーといえば武侠かというと、これは完全な現代劇だ。
 現代劇の中でカンフーを見せ場としたアクション映画を作るとなると、シリアスなものが作りにくい。それはジャッキーの作品群を観れば分かる。
 ブルース・リーというカリスマの存在が類似品の存在を許さず、ジミー・ウォング、サモハン、ジャッキーによる「カンフー劇」がジャンルとして定着してしまった。これは空手アクション作品も同様で、映画としてウケルのは派手な疲れ知らずのダンスであって、シリアスなストーリーに噛み合わないのだ。ジャッキーがハリウッドに進出してからは、現代劇として大作に乗り出したが、コメディとリアルアクションの複合路線が主流である。
 そして今、ドニーである。武術監督も務める彼のアクションは、カンフーでありながらリアリティがある。リーに陶酔するドニーは、格闘技は相手を叩き潰す技であるという原点を魅せる。力差があれば瞬殺であり、技が分からなければ観客も何で倒されたのか分からないほどだ。だからシリアスなストーリーとのマッチングがいい。だが本作に感心したのはその先だ。
 リアルな現代劇に、カンフーの最強を求めて達人を倒して回るという、時代遅れの男の悲哀が見事に描かれているのだ。技を屈指して警察の特殊部隊から逃げ、カンフーは非情な殺しの技という信念を最後まで突き通して銃に撃たれる犯人の姿が実に良い。
 ドニーは今、東洋のローカル・スターだが、今冬上映のSWスピンオフ「ローグ・ワン」で世界のスターに認知されるだろう。