2009年に制作され、日本では日の目を見なかったがクチコミで今頃になって公開されたC級SFサスペンス。
もちろん、C級とは予算のことであって、本作はお勧めの佳作だ。以前紹介した「トランス・ワールド」と同様、アイデア勝負なので、予告編を見てはいけない。
主演はマッツ・ミケルセン。「007カジノロワイヤル」の悪役で一躍有名になった人。実に陰りの濃い人で、とてもハッピーな役柄は似合わない役者だ。本作もボロボロ人生で登場する。導入部は「バタフライ・エフェクト」と同じ。過去に戻って人生をやり直すのだが、そこからが大きく違う。
まず、バタフライ・エフェクトやトランス・ワールドは同じ時間軸でタイムトラベルする設定なので、タイムパラドックスが肝となっている。対して本作は、別の時間軸の過去に戻るパラレルワールド設定なので、過去の自分を殺してしまってもパラドックスは発生しないのだ。
後半の展開はこれまで数多くタイムトラベルSFを見てきたオイラであるけど、ニヤリとさせる発想の面白さに感心した。廃墟のドアを抜けると5年前の世界というトワイライトゾーン的な設定ながら、大真面目の家族ドラマに仕上げている。
予告動画は見ないほうがいいので、パッケージを。