井筒香奈江というアーティストをご存知だろうか。
メジャーな歌手ではない。ジャンルを問わず、昔のアコースティックサウンドを好んでライブ活動中心に活躍しているらしい。このマイナーな歌手を取り上げたのは、オーディオとの関わりが強いことによる。
5〜6年前、発表されたディスクが大手オーディオメーカーの気を引いた。その音に惚れ込んだらしい。以後、試聴用に使われるCDとしてオーディオマニアに少しづつ認知されていったという、面白い経緯をたどっている。
そんな彼女が2011年に発表した「時のまにまに」というミニアルバムが大変注目を浴びた。とんでもない高音質だ・・とか、試聴用ディスクのリファレンスだ・・とか、もうオーディオ屋の中では知らぬ人はいないディスクとなった。今ではパートⅢまで発表され、いずれもズバ抜けた録音と評されている。歌の善し悪しは一切話題にならないところが、まさにオーディオ趣味人の世界だ。それを隣街のショップが取り寄せたので買ってみる。
デッドで加工臭の少ない録音である。シンプルな構成はたしかに音の善し悪しを検聴するのに向いている。楽しい音というものではない。あと、これはまったく個人的な趣向から思うことだが、なんとも気の抜けた歌い方が好き嫌いが分かれる気がする。正直言って、オイラは好まぬ歌唱だ。
好きな歌も試聴用に使い出すと、何回も聴くため飽きてしまう。しかし、ハナからつまらん歌なら飽きるも何もない。これはボーカルの試聴用ディスクとしよう。( ̄∀ ̄)