シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

懐かしの愛機 B&W Matrix801 Series3

 B&Wのスピーカーが自分の好む音というものを確信させてくれたものだった。だからM802,M801,N802と3機に渡って愛用した。その中でも一番印象深いのはマトリックス801、通称M801だ。何故かといえば3機種中最も使いにくいスピーカーだったから。
 専用スタンドが高価なので、タオックを使って何とかしようと四苦八苦の毎日。ダイヤトーンDS2000HRのときと同じだ。しかし今回は正反対、低音の出過ぎである。買ってから801番は低音の制動に苦労するという事実を知ったわけで、後の祭りである。これではM802の軽やかな音から明らかに質的ダウンしている。不細工なドラえもんのような容姿その通りの音に愕然としたものだった。
 東京防音の高密度グラスウールで囲んでみたり、バスレフダクトにタオルを詰めたり、果てはレゾナンスチップを張り巡らしたりと、考えつく手を尽くした。それでもイコライザーで電気的補正をしようとは思わなかった。今だに毛嫌いしていたからだ。
 やっとバランスが取れて、その低重心の安堵な音に2〜3年浸かっていた。そしてノーチラス802の展示品処分の話を聞いて手放すことになるのだが、その折りにすべての対策を外してみた。するとどうだ。まったく素の状態にしても音が変わらないではないか!あの苦労は何だったのだ?
 故長岡鉄男氏があらゆる部屋の対策をした数年後、すべてを撤去したという話を聞いたことがある。また、オーディオの重鎮による含蓄ある言葉に、「何もしないことが良い音への近道」というものがある。このときオイラは体感したのだった。
 スピーカーは生き物であって、部屋に馴染むのに時間が掛かる。これはエージングとは違うオカルトに近いものだ。ワガママなタイプだとなかなか観念してくれないが、最後は素直なオナゴになってくれる。
 この時すでに遅し、すでに美女のN802を迎える事になっている。我が家に馴染んだ不細工なM801ドラえもんが愛らしくなり、別れを惜しんだものだった。