これは、ミッシェル・ヨーを筆頭に中国、韓国、台湾のスター俳優が結集した2010年の武侠映画。オイラが好きな殺し屋テーマの作品なので期待を持って観た。
武侠映画はその昔、武術+仇討ちの構図が支配的だった。そこに笑いをプラスしたのがジャッキーチェン。近年では、純愛、友情を絡めることでアクション映画に爽やかな感動を誘っている。本作も例外でなく、なかなか満足感のある作品だ。
この、清楚な純愛をモチーフにして感動させるのは東洋人ならではの世界で、何でも身振り手振り、言葉にしないと伝わらない西洋人では無理である。レビューを見ると、悪の親玉の正体と目的に失笑を買っているようだが、オイラはまったく意見が違う。そもそも宦官の悲哀と苦悩をクローズアップした作品にはお目にかかったことがなく、本作を見ると実に感慨深い。人間の素な欲望とはまさに本能的なものなのだ。
ワイヤーアクションも手馴れた魅せ方で、自然ではなく美的であることが本懐といえよう。グリーン・ディスティニーでも感じたが、武の達人との融合は掛け軸の水墨画を思わせる。しかし、そんな本作でも不満はある。
台湾の若き美女、ケリー・リンが街に溶けこむ平凡な顔に整形した結果、それがミッシェル・ヨーでは酷すぎる。まず、年が違いすぎるし、ヨーは立っているだけで達人のオーラが光るオバサンだ。とても同一人物にするのは無理。ヨーよりも歳が近いチャン・ツィーの方がピッタリだろう。まあ、彼女も似たような役が多いので嫌がるだろうけど・・
これではヨーが哀れだ。