シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

音のスピード感

 音にスピード感がある・・初めはこれが何だか分からなかった。

 機器によって、音が耳に届くまでの時間が早いなんて事があるはずがない。音楽が変わってしまうではないか。振動盤の反応の速さ、軽さ、立ち上がりや立下りの速さやキレが聴感上のスピード感に反映するのだろう。

 記憶が確かではないが、音のスピード感を重視していた論者が長岡鉄男氏だったと思う。音を褒めるときの言い回しで、よく「ハードでダイナミック」と言っていたが、スピード感と関係は浅くあるまい。そんな氏が愛用するスピーカーは、ほとんどがFOSTEXのフルレンジだった。氏の図面集には様々あるが、パルコン時代から方舟時代までレファレンスにしていたユニットはフルレンジである。フルレンジはネットワークが要らない。ツイーターをプラスしてハイエンドを延ばすにしても、コンデンサー一発で調整している。アッテネーターは論外なのだ。低域はホーンロードや共鳴管で合理的に増強し、高能率を確保する。FOSTEXを愛用したのは、軽いパルプコーンと超強力マグネットという要望に沿う必要があったからだろう。有名なローサーPM6Aも有力だがCPが低い。氏はCP比も重視していた。さらに、アンプはFETに拘り、ケーブルは単線を愛用していた。こうした特徴が音のスピード感を得る道だと信じ、現在でもオイラのメインシステムは結構似た状況になっている。

 スピード感に拘ると、他の一般的スピーカーがもどかしく感じてくる。以前、ダリの試聴会に出向くと、その音はなんて熟考しながら発音するシステムかと感じた。これは低能率の高級機の特徴に思う。ただ、スピード感ばかり追っていると、音の厚みが無くなってくる。我が家でピークの頃はとても素朴な音になっていった。長岡氏の音を竹を割ったような音と言った御仁が居られたが、分かる気がする。この音は、一般的な音楽があまり楽しめず、懐メロなんて聴けたものではない。だから我が家では、スピード感をあまり犠牲にせずに厚みを持たせようと四苦八苦してきた。結局、ある程度は妥協する必要もあると感じている。