寺島靖国氏はこの世界でその名を知らぬ人はいないジャズ評論家で、少し前に隣町のオーディオショップへ公演に来られたが、残念ながら仕事で赴くこと叶わなかった。
オイラは彼の文章のファンで、その著書も多く目にしていて、特に本業のジャズについて語ったものより、オーディオについて書かれたものが大変面白い。
オーディオ・アクセサリー誌に連載中の「ジャズびたりオーディオ桃源郷」は、彼がアバンギャルドの前に使っていたレイオーディオのスピーカーを導入する前から、その趣向や機器の変遷を読ませてもらっている。
とかくオーディオを趣味にする人は、カッコつけたり知識をひけらかして得意気になっている輩が多いのに、大変平易な文章で自分の正直な心を綴っているのが実に好ましいのだ。
高価な機器をガンガン買いまくり、妬まれる前に赤裸々に自爆しているバイタリティはアッパレで、オイラよりふた廻りも高齢者がする事とは信じられないほどだ。
また、本業のジャズ評論も、親しみやすいメロディと分かりやすい力強さを好む点が実に親近感を覚える。彼の趣向が反映した寺島レーベルのCDは、まさにゴキゲンだ。