1998年公開のA級アクション作品。
前回、久しぶりに昔のアクション映画を観て、ダサい演出にこんなもんだったかと疑問を感じた。そこで、昔見たが記憶にない作品を選んで再見してみた。
RONINN(浪人)は主演がロバート・デニーロで、当時売れっ子のジャン・レノと共演した事までは覚えている。実は他の共演者もなかなかだ。ステラン・ステルスガルド、ショーン・ビーン、ジョナサン・プライスなど、アクション映画の脇を飾った馴染顔がズラリである。で、肝心の内容はマジで感心した。
実にハードボイルドでリアリティ重視の筋立てが素晴らしい。なんでこんなカッコイイ映画を忘れていたのか・・当時はオイラも若く、アクションといえばスタローンやシュワの弩派手なエンタメに靡いていたのだ。それに、1990年代は弩派手なA級作品が多かったので、地味に映ったのだろう。今観るとその魅力がとても良く分かる。
やっぱり全盛期のデニーロは渋くてイカスなあ・・面白いのが、本作より前に「007ゴールデン・アイ」で印象的な宿敵を演じたショーン・ビーンが、デニーロに子供扱いされて即退場させられてしまう。ウ~ム、クールだねえ。
この映画ではパリの狭い街中でカーチェイスが行われるが、このリアリティが半端ない。派手なお膳立ても無く、CGも無い本物のチェイスは緊張感が違う。細かい点だが、逆走する車の運転シーンを演じるデニーロの魅せ方がブラボーだ。引いた固定カメラで撮っているのに迫力と危機感があるし、大変見やすいのである。
敵に逃げられた後の展開は、大作にしては地味である。しかしハードに徹した本作はこれでいい。クライマックスで、主人公が自分の正体をバラして女に逃げろというシーンもいい。奪い合いをしていたケースの中身を最後まで明かさないというのも粋だ。そして、最後の何も飾らない別れの風情には味がある。
うん、そうだ。昔のアクション映画はダサいものもあったが、本作のようなハードでシリアスな作品もあったよなあ。見直して良かった。
とにかくデニーロがカッコイイ!