DMPはCD創世記から高音質ディスクを手掛けるレーベルで、デジタル・ミュージック・プロダクツの略である。その存在は、20世紀後半のデジタル・ミュージック最先端をリードしていたと言っていいのだろう。
フルデジタル録音によるこのレーベルの音質の特徴は、高いSN比とDレンジの広さにある。それゆに一般人には受け入れられず、マイナーレーベルとして秘かにオーディオフリークにのみ語り継がれてきた。ラジカセやミニコンポではこのCDの能力を全く発揮できないため、ひいては音楽そのものが中途半端にしか聴けないことに繋がるからだ。実演奏と遜色ない音量で再生可能なシステムが再生環境として相応しい。その結果店頭にも置かれず、直輸入盤の入手か、オーディオ会社が輸入元となって紹介していた。価格はSACD並みと高価である。
最近、ブックオフの中古棚に売れ残りの未使用DMPレーベルを見かけるようになったので、ここぞとばかりに入手。その音は最新の高音質盤にも引けを取らない。進歩著しいデジタルの世界でそんなバカな・・と思うかもしれないが、これはDMPレーベルがフュージョン系の音楽を主にしているからで、このジャンルは初期のデジタル音とマッチしているのだ。
ハイスピードで切れ込み、クールでダイナミック、音の粒子が前に迫ってくる感触は、フュージョンやコンテンポラリー・ジャズにピッタリである。ただ一様に収録音レベルが小さいので、相当にボリュームを上げる必要があり、物理的な意味でも貧弱なアンプでは扱えない。やはり、マニア向きだ。