大学に入ってアパート住まいとなった。部屋は4畳半と狭い。当然、自宅のコンポを持ってくるわけにもいかず、思い切ってコンパクトな機器を購入することにした。
当時はまだミニコンポという形態が一般化しておらず、あまり選択肢がない。住んでいた朝霞市の駅近くにある家電量販店で見つけたのが、シャープのUZ-V3というコンパクトなステレオシステムである。
これが気に入ったのは、なんといってもレコード自動両面演奏という画期的な機構をもっていたからだ。レコードは縦に回転し、2本のアームが表裏でトレースするというもので、実にカッコイイ。しかもレコードを立てて使うことから、前後のスペースファクターが良いことが狭い部屋にはピッタリだった。結局、大学を卒業するときに後輩に譲ってしまったが、4年間完動してくれた。
この機器はオイラに悪い音を教えてくれた。当時はディスコやブラコンばかり聴いていたが、それでも音が悪いことは明白に感じた。思えばプレーヤー機構にほとんどの予算を獲られ、スピーカーはカスでしかなかったようだ。卒業と同時に断捨離となったのはそんな理由が大きい。つまり、オイラにとって音楽を聴くのに便利であるよりも、良い音を得るほうが重要だと教えてくれたのがUZ-V3だったわけである。
今でもまともに動くものがあるなら大したものだ。