シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

懐古 オーディオ評論家 その2

 オーディオ評論家が怪しい職業と揶揄される理由は、データとして分析できない領域で感覚的な要素を無理やり文書化した曖昧な仕事であり、メーカーに癒着して美味しい汁を吸ってる輩だろうという疑惑が感じられるからだ。実際、あるメーカーばかりを絶賛する論者がいて、メーカーの提灯持ちと非難されてもしかたがない。しかし、近年ではそうした露骨な傾向はあまり感じられなくなった。これは健全になったのか、それとも自分の趣向を表に出す個性的な論者が少なくなったという事なのか。

 前回紹介した4名も自己の主義主張が強かったが、他にも上杉佳郎、貝山知宏、菅野沖彦と、近年他界された重鎮もハッキリした好みを打ち出していた。これはとても重要な事だ。ある商品をベタ褒めしたところで、その人の趣向が分からなければ共感しようがないのだ。ケーブルなどのアクセサリーを評価する記事を見ると、どれも似たような訳のわからん表現で褒めている論者がいる。どうせ聴いてもいないだろう・・という胡散臭さが感じられるものだ。評論家は客観性が必要だと以前は思っていたが、それでは趣味人の共感は得られない。寺島靖国の文章がウケるのは、自分の趣向と当てはめて賛否をハッキリ決めやすいのだ。

 最近では、福田雅光が自分の好みをカミングアウトしている。これは長い評論生活を経て有識者というお墨付きを貰ったという証明だ。若手のライターが好みを表に出したら仕事が来なくなるだろう。評論で金を貰っている輩は、こんな目線で見るべきだと思う。